婚礼写真の撮り方 

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婚礼写真の撮り方 ~序章~ 心構え

上手なブライダルフォト

「写真に写ってるのは心だよ」
これは日本を代表する写真家様の言葉です。
婚礼写真に於いても、フォトグラファーと被写体(新郎新婦様及びゲストの方々)の心が写ります。

「フォトグラファーの上手い下手って何が違うんですか?」
このような質問を受ける事がよくあります。
私は大手の婚礼写真業者に所属してましたので、多くのブライダルフォトグラファーの写真を見て来ました。
私が上手いと思うフォトグラファーは“心から祝福の気持ちでシャッターを切ってるフォトグラファー”です。
プロが技術が高いのは当たり前です。“プロ”ですから。
(しかし実情では技術が低いブライダルフォトグラファーも数多く居ます この話は別の機会に)

テクニックの先にある物

以前所属していた会社に、とても尊敬できるフォトグラファーが1人居いました。
その方の写真が何故良いのか。何故心を魅かれるのか。何度も何度も見て自分なりに見つけた答えは“父親が我が子を祝福する気持ちでシャッターを切っている”という事が感じられる写真でした。
親が子を想う気持ちは“最高最美の愛”だと思います。
同じような写真をネット上で探してますが国内ではまだ1人も見つけられません。
カッコイイ写真を撮ろう、綺麗な写真を撮ろうとテクニックに走りがちですが、大切なのは祝福する気持ちだと思っています。
新郎新婦様の一日を祝福の気持ちで写真に収めれば、それはとても温かい一生の宝物の写真になるはずです。
テクニックの先にある物、それは心です。

結婚式と披露宴

私達は、結婚式と披露宴を撮影する訳ですが、では結婚式と披露宴って何でしょう?
結婚式とは夫婦になる二人が神仏(教会式・神前式・仏前式)かゲスト(人前式)に誓いを立てる式。
(余談ですが、1900年の大正天皇の神前結婚式以前は殆どが自宅で祝言という形で婚姻が行われていて、神前式や仏前式は日本古来のしきたりでは無いそうです)
披露宴とは、その結婚を披露し皆で祝う宴。
当たり前の事を書きましたが、結婚式と披露宴をどのように受け止めるかで写真の内容が随分変わってきます。
結婚式は新郎新婦様がメインで、チャペル式であれば入場で新婦父やベールガール、リングボーイ等の出番がある物の、その他は出番がありません。
ですからメイン被写体のほぼ全部が新郎新婦様になり、それで良いと思います。

しかし披露宴は違います。
勿論メインが新郎新婦様である事に変わりはありません。
披露宴の写真をお渡ししてよく声を頂くのが「自分達が見られなかった所の写真が沢山あったから嬉しい」という事です。

今まで600組以上の撮影させて戴いて、“披露宴は新郎新婦様そのもの”だと感じます。
結婚式は準備された式場の中で演出等も殆ど出来ず、ゲストも殆ど動けない中で厳粛に執り行われるのに対し、披露宴は会場の飾り付け、演出、招待客の選別等の殆ど全てが新郎新婦様の思い通りに出来ます。
そこへ、家族や今まで関わってきた人達が会場を埋め、披露宴が出来あがります。
ですから、披露宴を撮影すると言う事は新郎新婦様だけを撮るのではなく披露宴全体を撮ると言う事です。

披露宴会場は大きく温かい祝福で溢れています。
会場の飾り付け等も新郎新婦様からゲストに対する感謝の気持ちですから勿論撮影しますが、フォトグラファーが撮影する最も大切なのは、その祝福です。
形の無い祝福という物を撮影するのは難しいですから、フォトグラファーの気持ち、心が不可欠になってきます。

祝福を撮影するとはどういう事か。
それぞれのフォトグラファーさんに自分で感じて形にして欲しい所ですが、それではこのページの意味が無いので、具体的な例を挙げるとゲストの行動や表情を撮る事がその一つです。
そしてその祝福を受けた新郎新婦様の表情も写真に収めなければなりません。

このような披露宴写真が撮れたら、新郎新婦様が結婚生活の中で写真を見返した時に、この日のゲストの方々の祝福の気持ちが再現されて幸せな家庭を築いていく力の補助になると思っています。

綺麗でカッコイイだけの写真より、このように自分がお世話になった、関わってきた方達の祝福がいっぱいに詰まった写真の方が10年後、20年後、30年後それ以降も家族で一緒に見て幸せな気持ちになれるはずです。

心構え

長くなりましたが、心構え無しで新郎新婦様に喜んで貰える写真は撮れません。
「結婚式の写真をプロに頼んだけど良い写真が全然なかった」という話を嫌という程聞いてきました。とても悲しい事です。
私達、仕事として婚礼写真を撮ってるフォトグラファーは仕事ですから結婚式が日常生活の一部ですが、新郎新婦様にとってはこれから築く家族の誓い、今までお世話になった方達、これからお世話になる方達に感謝と決意を伝える一生に一度の大イベントですから、フォトグラファーは決して心構えを忘れてはなりません。

これから先の章はテクニックを盛り込んで行きますが、この章が私の考える“喜んで貰えるウェディングフォト”の大前提です。

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